【産業動向】パナソニック台湾工場で火災、CCL供給に打撃 ハイエンド多層基板の世界供給4%に影響の試算も
2026-11-05 13:00:39
台湾の大手紙『経済日報』は2026年11月5日付で、パナソニック(Panasonic)グループの台湾松下多層材料(Panasonic Industrial Devices Materials Taiwan=PIDMTW)の台湾新竹県湖口郷にある工場で4日未明、爆発による火災が発生し、1万平米あまりに被害が出たと報じた。同紙は、同工場で生産するAI(人工知能)サーバー向けハイエンドの超低損失の銅箔基板(CCL)の供給への影響が懸念されるとし、業界の試算として、世界のハイエンド多層基板供給量の約4%に影響が出ると伝えた。またこれにより、台湾市場では、台湾系CCL競業のEMC(台光電)、TUC(台耀)、ITEQ(聯茂)、Ventec(騰輝)への受注シフトを予想する声も出ているとした。
経済日報によると、事故の状況、取り残された人の捜索・救助の進捗、生産設備の被害程度、今後の操業再開時期等について、5日付の原稿締め切り時点で台湾松下多層材料から公式の発表はされていない。
一方、同紙の伝えた台湾の業界筋は、パナソニックは超低損失ハイエンドCCLの世界的リーダーであり、湖口工場は同社のハイエンド製品シリーズ「MEGTRON」(M6、M7、M8グレードの超低損失材料)の重要な生産拠点だと指摘。湖口工場の生産能力は、パナソニックの同シリーズ世界生産量の約2割を占めていると述べた。その上で、パナソニックはAIサーバーやハイエンド通信機器向けCCL市場で高いシェアを有しており、湖口工場の生産が停止すれば、世界のハイエンド多層基板供給量の約4%に影響が及ぶと述べた。
また、同紙の伝えた台湾の市場関係者は、ハイエンドCCLの製造プロセスには、クリーンルームの清浄度や設備の精度に対して極めて高い水準が求められるため、今回のような大規模な火災が発生した場合、建屋の修復、設備の再設置、顧客による再認証といったプロセスを経て操業を再開するまでには、通常数カ月以上を要すると指摘。その上で、米エヌビディア(NVIDIA)や米国の主要クラウドサービスプロバイダ(CSP)4社による大規模な調達需要を受け逼迫していたハイエンド基板材料は、パナソニック湖口工場の火災により、超低損失材料の供給がさらに逼迫する恐れが出てきたと語った。
経済日報によると、火災の原因について新竹県消防局は4日、初期調査では、ボイラーの操作ミスか、メタノールやメチルエチルケトンといった有機溶剤の漏洩が連鎖的な爆発を引き起こした可能性があるとの見解を示している。消防当局は、消防隊員80人、予備消防隊員60人に加え、化学消防車や災害対応ロボットを投入して消火活動に当たり、4日正午前に鎮火したが、工場1〜3階が被害を受け、約1万平米が焼けた。従業員5人が負傷し病院に搬送された他、台湾籍従業員2人の安否が不明となっているという。
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